大判例

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東京高等裁判所 昭和63年(ネ)899号 判決

評議員欠員補充についての総会決議無効確認請求は、過去の法律関係の存否の確認を求めるものであるところ、一般に、民事上の法律関係は常に消長の可能性を有するから、単に過去の法律関係の存否の確認を求めることは、無益に帰することのあることを免れず、端的に現在の法律関係の存否を求めるのが相当であるから、確認の利益を欠くのであるが、しかし、ある基本的な法律関係から複数の法律効果を生じ、これに伴う現在の法律上の紛争が存在し、現在の権利又は法律関係の個別的な確定が必ずしも紛争の抜本的解決をもたらさず、かえって、これを個別的に確定した場合にはその間に判断の抵触を生ずることがありうるから、これらの権利又は法律関係の基本となる法律関係を確定することが紛争の直接かつ抜本的な解決のため最も適切かつ必要と認められる場合においては、右の基本的な法律関係の存否の確認を求める訴えについても、確認の利益があるものとして、これを許容すべきである。

そこで、前記請求について右に挙げる要件が存在するか否かにつき検討するに、≪中略≫被控訴人においては、評議員は四五名以上五五名以内の員数が置かれ、評議員会を構成するのであるが、評議員会は総会に付議すべき事項その他被控訴人の運営に関する重要事項について審議し意見を述べることができるに止まること、丸茂富美穂は評議員として前任者市川芳男の残任期間を任期とし、同人の任期は被控訴人定款付則四項により、昭和六二年度に開催される最初の通常総会終了の日までとされているのであるから、遅くとも昭和六二年五月末日にはその任期を終了していること、本件評議員欠員補充についての総会決議の効力の有無に派生して、現在何らの具体的な法律上の紛争も発生していないことが認められる。以上によれば、本件訴えについて確認の利益があるものとはいえず、控訴人の右訴えは不適法なものとして却下を免れない。

(丹野 加茂 河合)

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